世界を見る − 2つのパラサイト戦争
2009-10-03


米国金融資本による金融パラサイト戦争はその仕組みを世界各国が認識し、必要な措置をとることで見事な失敗に終わるだろう。米国がやっているパラサイト戦争はもう一つあり、こちらはNATO軍を巻き込んでいる。それは、天然資源パラサイト戦争だ。金融パラサイト戦争と違い、天然資源パラサイト戦争はあまり表に出てこないのでわかりにくい。しかし、現実には熾烈な駆け引きが続いている。

天然資源パラサイト戦争が展開されていることは、米軍やNATO軍が7年も8年もアフガニスタンに駐留し続けているという事実が証明している。まさか、報道されているように、対テロ戦争とか現地の治安改善などのために、米軍やNATO軍が7年も8年もアフガンに駐留し続け、攻撃を続けていると考えるお人好しはいないだろう。どんなに国民の反対を受けようが、どんなに国民の税金を使おうが、何らかの折り合いが付かなければ、駐留を続けなければならない、最終的には大規模戦争にも進む理由がある。

その理由こそ、中央アジアに広大に広がる石油や天然ガスなどの天然資源。カネは刷りさえすれば(というより現在はコンピュータで信号を送りさえすれば)いくらでも作れるが、天然資源は実物であり、そういうわけにはいかない。エネルギー面で自国の絶対的安全を確保しようとすれば、他国にある天然資源という実物を略奪し、その実物を運ぶルート(パイプライン)を確保しなければならない。

これこそが、米軍やNATO軍が中央アジアに展開し、足を抜けられない理由であり、昨年8月に親米国グルジアによってグルジア戦争が仕掛けられた理由でもある。ほとんど注目されていないが、一部、報道されているように、オバマの予算が通って、もしバグダッドの米大使館並みの巨大大使館をパキスタンのイスラマバードにも建設するのであれば、天然資源パラサイト戦争はさらに激化することになる。

Iraq redux? Obama seeks funds for Pakistan super-embassy
(帰ってきたイラク?オバマ、パキスタンでの巨大大使館予算を求める)
[URL]

とはいえ、米国自らMD東欧配備を中止したということは、天然資源パラサイト戦争も米国にとって芳しくない方向に動いているのかもしれない。天然資源パラサイト戦争の一環として、譲歩せざるをえなくなったということだからだ。少なくとも、読売が書いているような米ロの軍縮などというこんな脳天気な話ではない。

MD東欧配備、米が中止…露との軍縮交渉に弾み
[URL]

日本も難しい立場に立っている。エネルギー政策の面でどのような選択をすることが得策なのかじっくり考えるべきなのだろう。少なくとも米国は、こちらでも失敗するように見える。

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