似て非なる米国の「国民皆保険」
2009-08-24


「国民皆保険」というとつい日本と同じようなものだろうと思ってしまう。しかし、米国で現在議論されている「国民皆保険」は日本のものとは、恐らく他の先進国のものとはまるで違う。そもそも「public option」という米国でも耳慣れない言葉が出てくる。

「国民皆保険」は国民に対する保険加入の義務化である。なのに、なんで「public option」なんて言葉が出てくるのか。これは、連邦政府が提供する保険のことを言っている。つまり、保険加入を義務づけられた国民は政府運営の保険と民間の保険の選択ができるということだ。しかし、少し前には、オバマさんでさえ、この「public option」が無くなっても、という意味のことを言っている。

Obama may drop public option in health care
(オバマ、ヘルスケアのパブリックオプションを断念するかも)
[URL]

実際に断念しちゃったらどうなるか?義務づけられた健康保険はすべて民間が請け負うことになる。ってことは、どういうことか?例えば健康保険会社の大手、UnitedHealthなどの株価は上昇じゃないだろうか。

阿修羅で紹介されていた産経の記事にあるこの古森氏の意見は、

「国民皆医療保険というのはまさに「大きな政府」への依存である。オバマ大統領の人気も、米国民のその「大きな政府」への反発を崩すところまでは及ばなかったということだろう。」
ソース:【緯度経度】医療保険改革 オバマ支持を減らす
[URL]

意識的にか無意識的にか、論点、本質をずらしていると思われる。これは医療保険業界の見方であり、これを楯に業界は義務づけられる保険加入を一手に自分たちが引き受けようとしている。医療保険業界のボロ儲け状態、米国民の収入の下落からして、大多数の米国民は「public option」付きの「国民皆医療保険」を望んでいるのではないだろうか。しかし、「public option」がなければ、国民の健康は保険会社という民間会社によってほぼ管理されることになる。ロビー活動によって、一部の議員の意見があたかも国民の意見であるかのように宣伝され、「public option」が外されようとしている。

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